パリオリンピックのスケートボード・ストリート女子は、14歳の吉沢恋(ACT SB STORE)が「金」、15歳の赤間凛音が「銀」を獲得。同種目では、日本勢が2大会連続の金メダル獲得となった。前回銅メダルの中山楓奈は惜しくも7位となり熾烈な戦いが繰り広げられた。
パリ五輪までの軌跡 前回金メダリストがまさかの落選
東京五輪では、金メダル、銅メダルを獲得した女子スケートボードのストリート。日本史上最年少の五輪金メダリストになった西矢椛選手は「13歳、真夏の大冒険」のフレーズとともに注目された。
あれから3年。男子と比べてスケートボード女子ストリートは、早くも新時代の幕開けとなっているのかもしれない。西矢椛まさかの落選…パリ五輪女子スケートボード予選でドラマを見せた14歳の選手とは吉沢恋(14歳)。
最終的な世界ランクは1位に吉沢恋(よしざわここ・14)、2位に赤間凛音(あかまりず・15)、4位に中山楓奈(なかやまふうな・19)となり、ここまでが出場権を獲得。
以下、5位に織田夢海(おだゆめか・17)、7位に西矢椛(にしやもみじ・16)、9位に伊藤美優(いとうみゆう・17)と、トップ10に6人全員がランクイン。ここで多くの人の注目を浴びたのが東京五輪の金メダリスト、西矢椛の落選だろう。
彼女は、3月まで行われていたフェーズ1の大会で1位をキープしていたが、人数が絞られ、獲得点数が格段に跳ね上がったフェーズ2で2戦とも準決勝敗退に終わってしまい、日本勢5番手に。
昨年末に開催された有明での世界選手権で共に表彰台に上がった織田夢海も前回に続き直前で出場権を逃している。女子は男子以上に激しい代表権獲得レースであったことがわかる。
ただ西矢は元々映像作品制作の方でも積極的な動きを見せているので、ファンの方は今後披露されるであろう彼女のスムーズで華麗な滑りを収めたビデオパートに期待してほしい。
スケートボード・ストリートのルール
スケートボード・ストリートは、45秒間コース内で自由に滑ることができる「ラン」2本と、一発の技を競う「ベストトリック」5本を滑り、高得点のラン1本、ベストトリック2本の点数を合計して順位を決める。
試合の行方は、見事な逆転劇で幕をおろす
前半の45秒間コース内を自由に滑る「ラン」では、赤間選手、吉沢選手、中山選手が出場した8人のうちの上位3人につけて、日本選手の表彰台独占の期待が高まりました。
そして後半の5本を滑り、高得点のラン1本、ベストトリック2本の点数を合計する「ベストトリック」では、赤間選手が1回目にボードを270度回転させてからレールを滑り降りる「フロントサイド270ボードスライド」という技を決めて92.62をマークし、2回目も84点台を出して、この時点でトップに立ちました。1位赤間選手、2位吉沢選手。しかし吉沢選手は4回目でボードを縦と横に同時に回転させてからレールを滑り降りる「ビッグスピンフリップボードスライド」という大技を決め、96.49をマークしました。吉沢選手は続く5回目も89点を超える高得点を出して合計272.75となり、逆転で金メダルを獲得しました。
吉沢恋 「すごくうれしい レベルアップしていきたい」
金メダルを獲得した吉沢恋選手の印象的な言葉としては、今後はほかの選手に追いかけられる存在になったことで、「自分をここに立たせてくれたのはこれまで追いかけてきた先輩たちのおかげだと思うのでそこに感謝しながら今後は抜かされないようにレベルアップしていきたい」と話していたことと、「スケートボートの選手は、選手生命が短くて平均年齢も低いので、大人になってもオリンピックに出場できると証明していきたい」と意気込んでいたことでした。彼女は2021年東京五輪の時はまだ11歳。家族でテレビを見ていた時に西矢椛選手が金メダルを獲得した技「ケグルグラインド」を見た時、家族はなんと恋(ここ)もこの技出来るよねとなり、自身の技が世界で通用することは初めて知ったようです。しかも驚くべきことは10歳で成功していたというから驚きです。
「ケグルグラインド」(K-grind)は、スケートボードの技の一つで、正式には「ノーズグラインド」とも呼ばれます。この技では、スケートボーダーが障害物(レールやカーブ)に対して以下の手順を踏んで実行します。
- アプローチ:スケートボーダーが適切な速度で障害物に向かってアプローチします。
- オーリー:障害物に乗り上げるためにジャンプ(オーリー)をします。
- グラインド:ボードの前側(ノーズ)で障害物にグラインドし、後ろ側のトラック(車軸)は浮いた状態で滑ります。
- ランディング:障害物の端に達したら、グラインドから降りて元のライディングポジションに戻ります。
この技はバランスとコントロールが非常に重要で、成功させるのは高度な技術が必要です。西矢椛選手は、この技を見事に成功させ、東京五輪での金メダル獲得に貢献しました。
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赤間凛音 「自分らしい滑りができた 次は金メダル」
銀メダルを獲得した赤間凛音選手は、「パリオリンピックでメダルを取るのが夢だったのでうれしいし、今まで獲得してきたメダルよりもすごく重くて感動している。最後まで諦めずに自分らしい滑りができたと思う」と振り返りました。
また、ともに出場した吉沢恋選手と中山楓奈選手については、「オリンピックまで励まし合い、相談しながらやってきたので、かけがえのない存在。2人がいなかったら絶対に銀メダルは取れなかった」と話しました。
そのうえで、「次のオリンピックでは絶対に金メダルを取りたい」と話し、すでに4年後を見据えていました。まだ15歳。次回のロスオリンピックでも期待をしたい。
中山楓奈 「すごく悔しい すぐにもっと練習したい」
決勝で後半の「ベストトリック」を1回も成功できずに7位となった中山楓奈選手は「日本選手で私だけが表彰台に乗ることができず、すごく悔しい結果に終わった。狩野じゃが得意とする技に5回トライしたが、できなかった。冷静に自分の実力を振り返りまだまだ実力不足だからと日本に帰ってすぐに、もっと練習したいと悔しそうな表情で話していたことが非常に印象的でした。
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まとめ
近年、女子のスケートボードは世界的に見ても日本のレベルは確実にトップクラスだ。前回金メダルの西矢椛選手(当時13歳)が落選。世界ランキングは下記の通り。
1位:吉沢 恋
(ACT SB STORE)パリ五輪近メダリスト
2位:赤間 凛音
(私立東北高校1年)12歳で日本選手権を制した逸材 パリ五輪銀メダリスト
4位:中山 楓奈
(ムラサキスポーツ)東京オリンピック銅 パリ五輪7位
5位:織田 夢海
(サンリオ)日本初開催となったスケートボードストリート世界選手権で、初優勝
7位:西矢 椛
(サンリオ)東京オリンピックの金メダリスト
日本スケートボードは男女ともに日本の上位ということは実は世界の上位ということになる。男子に至っては世界ランク3位までが日本人。1位には小野寺、2位は白井 空良
、3位は東京オリンピック金の堀米雄斗だ。熾烈な戦いは続く。