第93回日本学生陸上競技対校選手権大会(2024年9月19日~22日/神奈川・Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu))は、パリ五輪代表選手も多数エントリーされ、注目度の高い大会となっています。以下に、見どころを種目別にまとめます。
1. 女子短距離種目(100m・200m)
100mは陸上の花形種目、男女ともに注目です。2024年のランキングTOP10です。
昨年の日本インカレではワンツースリーフィニッシュを達成した甲南大学の3名は今年も順当にランクイン。昨年のディフェンディングチャンピオン藏重みう(甲南大2)は1年生ながらルーキーで優勝。 今年の新1年生も力があるメンバーが揃っている。優勝候補筆頭は昨年の高校インターハイ100m 200m2冠に輝いた福岡大1年の山形愛羽。今年に入り100mと200mで自己新記録を更新中、さらに6月15、16日に行われた2024日本学生陸上競技個人選手権女子100mと200mで、福岡大学の山形愛羽(あいは、1年)が「二冠」を達成。中でも11秒41(追い風1.7m)をマークした100mは、土井杏南(現・JAL)が2012年にマークしたU20日本記録(11秒43)を塗り替える好記録。強い先輩たちとレベルの高い環境下で練習を積み、成長が著しい。5月の世界リレーを経験し世界の壁を痛感した19歳はもっと先を見据えているのかも知れない。6月の大会で怪我をし一時離脱していた事が心配ではある。
1位:11.41 1.7 山形 愛羽(福岡大1)
2位:11.55 1.7 奥野 由萌(甲南大3)
3位:11.63 1.9 山崎 結子(日女体大3)
4位:11.64 1.8 佐藤 美里(中大3)
5位:11.67 1.8 藏重 みう(甲南大2)
6位:11.68 1.7 岡根 和奏(甲南大3)
7位:11.70 1.8 石川 優(青学大4)
8位:11.70 1.4 飯田 光咲(東女体大3)
9位:11.70 2.0 先村 若奈(環太平洋大1)
10位:11.71 1.8 本田 怜(順大M1)
200mではTOP10ランキングの中に4年生は2人。あとは1年生2年生が多くランクイン。しかも400mや100mHからもランクインしている点が面白い。昨年のチャンピオンは400mと2冠の森山静穂(福岡大)23秒84(± 0)
1位:23.53 1.4 山形 愛羽(福岡大1) U20学生日本記録保持者
2位:23.67 1.1 髙橋 亜珠(筑波大2)
3位:23.73 1.4 フロレス・アリエ(日体大2)
4位:23.96 1.1 吉永 葉月(中大2)
5位:24.06 0.2 佐藤 葵唯(青学大2)
6位:24.07 1.0 佐藤 瑠歩(法大4)
7位:24.10 1.2 江原美月優(福岡大1)
8位:24.11 -2.4 奥野 由萌(甲南大3)
9位:24.15 1.0 鷺 麻耶子(早大4)
10位:24.17 0.6 岡根 和奏(甲南大3)
2. 女子400m・400mハードル
女子400mはフロレス・アリエ(日体大2)がランキングトップ。日本インカレ4冠達成の偉大な先輩の広沢真愛(日体大3)の日体大学記録にも0.01秒と迫っている。安達茉鈴(園田学園女大4)2年連続2位に甘んじておりいずれも優勝は森山静穂(福岡大)に惜敗している。念願の学生日本一まであと一歩。
1位:53.28 フロレス・アリエ(日体大2) 学生日本歴代5位
2位:53.52 安達 茉鈴(園田学園女大4) 今年自己ベスト更新
3位:54.12 中尾 柚希(園田学園女大2)
4位:54.14 児島 柚月(立命大2)
5位:54.43 森 優依花(九州共立大4)
6位:54.49 江原美月優(福岡大1)
7位:54.57 飯田 景子(中大4)
8位:54.68 瀧野 未来(立命大1)
9位:54.77 森 樺音(筑波大3)
10位:54.82 瀬田 陽菜(青学大1)
女子400mハードルの注目は山本亜美(立命大4)日本歴代5位、学生日本歴代3位の記録保持者。自己ベストは56秒06なので、今回は55秒台を目指す。京都・橘高校と大学の後輩で56秒90の日本高校記録保持者の瀧野未来(立命大1) は今年の春先から400mで自己ベストを更新。その後怪我で離脱し1本も走っていないのでランクインしていないが堂々のランキング2位よりも速い記録になるため、立命館大同士の熾烈な争いになりそう。
1位:56.60 山本 亜美(立命大4)
2位:57.25 松岡 萌絵(中大4)
3位:57.91 益子 芽里(中大3)
4位:58.02 千葉 史織(早大1)
5位:58.02 平木 陽(大阪成蹊大2)
3.女子中距離 800m
昨年の覇者、渡辺愛(園田学園女大4)が連覇を狙う。関西インカレ3連覇の実力とランキングトップがほぼ関西勢。その関西インカレ2年連続j2位の長谷川麻央(京教大3)、昨年のインターハイ2位で久保凛と接戦を繰り広げた西田がランキング2位。全国の舞台でも関西勢のトップ争いが熾烈になりそうだ。
1位:2.03.99 渡辺 愛(園田学園女大4) 6.29
2位:2.04.68 西田 有里(立命大1) 7.27
3位:2.05.43 江藤 咲(環太平洋大4) 6.29
4位:2.05.55 長谷川麻央(京教大3) 6.29
5位:2.06.22 森 千莉(至学館大1) 7.2
4. 女子長距離 5000m
女子5000mは昨年の覇者山﨑りさ(日体大4)と今年のランキング1位S.ワンジル(大東大2)との戦いになりそう。そこに食い込んで来るのが関西の立命館の2人が続き。さらにランキング6位の野田真理耶(大東大2)続く展開になりそう。見応え十分。不破聖衣来(拓大4)がエントリーされれば面白くなりそうだが、難しいだろう。
1位:15.19.93 S.ワンジル(大東大2)
2位:15.37.04 山﨑 りさ(日体大4)
3位:15.37.38 山本 釉未(立命大1)
4位:15.47.1 太田 咲雪(立命大2)
5位:5.51.0 村山愛美沙(東北福祉大2)
5.女子長距離 10000m
女子10000mもS.ワンジル(大東大2)の独走の予感。唯一対抗出来るのが不破聖衣来(拓大4)だが、1年生の頃に立て続けに好記録を出しそれ以降は怪我に泣いている。学生日本記録は2021年12月11日に不破聖衣来(拓大1)30分45秒21で日本歴代3位に当たる。
1位:31.48.11 S.ワンジル(大東大2)
2位:32.55.50 原田 紗希(名城大3)
3位:33.06.99 野田真理耶(大東大2)
4位:33.07.80 村山愛美沙(東北福祉大2)
5位:33.14.22 村松 灯(立命大4)
5. 女子100mH
昨年のインカレ2位の実力者本田怜が最有力候補。5月の関東インカレでは紫村仁美の持つ学生記録13秒15を上回る13秒13(+2.5)をマークした。追い風参考記録とはなったが8月に富士北麓ワールドトライアルで13秒07の学生日本記録を更新してみせた。本田は7月のトワイライトゲームスで追い風参考ながら13秒04(+2.4)をマークしている。学生ではまだ誰もなし得ていない12秒台への突入もあり得るので期待したい。
1位:13.07 0.8 本田 怜(順大M1)
2位:13.26 1.8 伊藤 彩香(福岡大4)
3位:13.28 0.5 髙橋 亜珠(筑波大2)
4位:13.34 2.0 森脇 叶美(園田学園女大2)
5位:13.36 -1.3 島野 真生(日女体大M1)
6.女子4×100mR
昨年の覇者福岡大は山形愛羽、柴藤凛、江原美月優の1年生、前田美結子2年、酒井日菜美3年、田島美春4年とかなり層が厚い。福岡大が持つ44秒51の学生日本記録の更新にも期待がかかる。対する甲南大は学生日本記録まで0.01秒に迫る44秒52を昨年の9月に記録している。メンバーも井戸アビゲイルの代わりに青山が変わるだけで他の3名は同じメンバー。怪我から復帰の東京オリンピック代表の青山華依がどこまで復調出来るかが鍵。その他は昨年の日本インカレ100mワンツースリーフィニッシュの藏重みう2年、奥野 由萌、岡根和奏3年が挑む。
1位:44.62 福岡大 (柴藤,前田,酒井,山形)
2位:44.70 甲南大 (青山、藏重、奥野、岡根)
3位:44.95 青学大 (倉橋、佐藤、井上、石川)
4位:45.26 園田学園女大 (浅田、安達、栃尾、森本)
5位:45.33 中京大 (前田、蟹江、福本、森下)
7. 女子4×400mR
ランキングトップは中央大学ですが、本命はやはり園田学園女子大学。学生日本歴代4位の記録を昨年出しており、メンバー全員が今年も出場することを考えるとかなり有利だ。タイムも3分36秒71(中尾,渡辺,栃尾,安達)。唯一脅かす存在は、ランク外だが立命館だろう。スーパールーキーの瀧野未来浜田リレーは走っていない。立命館大学も学生日本歴代6位で3分37秒21で走っているメンバー(吉岡,工藤,山本,児島)だが、吉岡と工藤以外は今年も健在で、瀧野未来、西田有理というスーパールーキーが走ると面白い結果になりそうだ。立命館は関西学生記録更新をして全国制覇を目指す。2012年東大阪大学(上山美紗喜・名倉千晃・新宮美歩・三木汐莉)の3分36秒67。学生日本記録は2007年の福島大学(渡辺なつみ・丹野麻美・青木沙弥佳・金田一菜可)3分34秒70にどこまで近づけるか楽しみな接戦が繰り広げられそうだ。
1位:3.39.43 中 大 (益子、松岡、吉永、飯田)
2位:3.40.67 園田女大 (中尾、好井、栃尾、安達)
3位:3.42.36 日体大 (塚本、松谷、鈴木、フロレス)
4位:3.42.53 筑波大 (森、髙橋、前田、赤坂)
5位:3.42.85 福岡大 (加来、田島、山形、江原)
まとめ
第93回日本学生陸上競技対校選手権大会は(9月19日~22日/神奈川・Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu)で4日間の熱戦が繰り広げられます。個人での成績が加点されていき学校対抗でも競いあわれます。昨年の女子覇者の日体大が今年も優勝し連覇達成するかも注目です。
2023年 対校戦女子
総合優勝 日体大 69点
トラック優勝 福岡大 59点
フィールド優勝 九州共立大 51点
多種目優勝 日体大 4種目