結婚式とは?
結婚式は、結婚する二人が夫婦となることを宣言し、家族や友人、社会から祝福を受ける儀式やセレモニーのことを指します。日本では、宗教的な儀式や伝統行事の要素が含まれる場合もあれば、自由な形式で行われる場合もあり、カップルによってさまざまなスタイルが選ばれます。
ただし、結婚式は必須ではなく、結婚届けを提出する「婚姻届」とは法律的に無関係です。近年では結婚式を挙げない「ナシ婚」も選択肢として増えています。以下、日本の結婚式の過去30年の変遷や、種類、流行について詳しく見ていきます。
日本の結婚式の変遷:過去30年のトレンド
日本の結婚式は、1990年代から2020年代にかけて経済状況や社会の価値観の変化により、大きく形を変えてきました。それぞれの時代背景とともに結婚式の流行を振り返ります。
1990年代:バブル崩壊直後の豪華路線
- 特徴:
バブル期の影響を受け、1990年代初頭の結婚式はまだ豪華さが求められていました。ホテルや専門式場での盛大な披露宴が主流で、招待客も多く、300人規模の結婚式も珍しくありませんでした。 - 流行した演出:
- 新郎新婦がスポットライトを浴びて入場する「お色直し」。
- シャンデリアが輝く大宴会場。
- 派手な引き出物(高級陶器やカタログギフト)。
- 結婚費用:
豪華路線の影響で費用は1,000万円を超えることも。ご祝儀頼みの部分も大きかった。
2000年代:個性重視の結婚式
- 特徴:
経済の低迷や価値観の多様化に伴い、豪華さよりも個性や意味を重視した結婚式が増加。アットホームな挙式やカジュアルなパーティー形式が注目されました。 - 流行したスタイル:
- レストランウェディング:こだわりの料理と小規模なアットホーム感。
- ガーデンウェディング:自然の中での挙式。
- ハウスウェディング:1軒屋貸切の会場での結婚披露宴。
- 自作アイテム(招待状やウェルカムボード)で個性を演出。
- 費用感:
平均費用は300万~500万円程度に減少。少人数制の結婚式が増加。
2010年代:SNSの影響と海外ウェディング
- 特徴:
SNSの普及により、結婚式の情報共有が盛んになり、写真映えやオリジナルな演出が重視されました。また、海外ウェディングやハワイでの挙式が一大トレンドに。 - 流行したスタイル:
- フォトジェニックな演出(フォトブースや装飾)。
- DIYウェディング:新郎新婦が準備を手掛ける手作り感のある挙式。
- 海外ウェディング:ハワイやバリ、モルディブなどで親しい人だけを招待。
- 費用感:
渡航費用や現地でのセレモニー費用が加わるため高額になることも。ただし、国内披露宴を省略するケースも多く、費用総額は抑えられることも。
2020年代:多様化とオンラインウェディング
- 特徴:
コロナ禍により、オンライン結婚式や少人数の家族婚が急増。また、結婚式を行わない「ナシ婚」や、フォトウェディング(結婚写真のみ撮影)を選ぶカップルが増えています。 - 流行したスタイル:
- オンラインウェディング:遠方のゲストとリモートでつながる挙式。
- 家族婚・挙式のみ:少人数で簡素な式。
- フォトウェディング:ロケーション撮影で思い出を残す。
- 費用感:
コロナ禍で費用を抑える傾向が強まり、100万~300万円程度に。ナシ婚やフォトウェディングの場合、数十万円程度に収まることも。
結婚式の種類
1. 神前式
- 概要:
神社で行う日本伝統の結婚式スタイル。新郎新婦が和装を身にまとい、巫女の舞や三々九度の儀式が行われます。 - 流行と現状:
1990年代は格式を重視する家庭に支持されていましたが、近年では「和の美しさ」に注目が集まり、若年層にも人気です。
2. 教会式
- 概要:
チャペルで行われるキリスト教式の結婚式。白いウェディングドレスを着た新婦がバージンロードを歩き、新郎と誓いの言葉を交わします。 - 流行と現状:
常に人気の高いスタイルで、約半数のカップルが選択。宗教色が薄い「チャペル式」として行うケースも多い。
3. 人前式
- 概要:
親族や友人に結婚の誓いを立てるスタイルで、形式に縛られない自由な演出が可能。 - 流行と現状:
個性を重視する2000年代以降、特に若い世代に人気が高まりました。
4. レストランウェディング
- 概要:
おしゃれなレストランやカフェで行うカジュアルな結婚式。料理にこだわりたいカップルに選ばれます。 - 流行と現状:
アットホームな雰囲気やコストパフォーマンスの良さから、2010年代に人気が急上昇しました。
5. 海外ウェディング
- 概要:
ハワイやヨーロッパ、アジアのリゾート地で挙式を行うスタイル。旅行と結婚式を兼ねられるのが魅力。 - 流行と現状:
2010年代に人気がピークに。現在も根強い人気がありますが、コロナ禍で一時的に減少しました。
6. オンラインウェディング
- 概要:
インターネットを利用し、ゲストがリモートで参加するスタイル。コロナ禍で急増しました。 - 流行と現状:
参加者の移動負担が少なく、費用も抑えられるため、現在も一定の支持があります。
最近の結婚式のトレンド
1. フォトウェディング
結婚式を省略し、写真撮影だけを行うスタイルが増加。美しいロケーションや衣装にこだわり、思い出を形に残すカップルが増えています。
2. 少人数婚(家族婚)
親族や親しい友人だけを招待する少人数婚が注目されています。コストを抑えつつ、温かみのあるアットホームな式が魅力。
3. DIYウェディング
招待状や装飾、ウェルカムボードなどを新郎新婦が手作りすることで、個性を表現した結婚式が増えています。
4. サステナブルウェディング
環境に配慮したアイテムや装飾を使用する結婚式。再利用可能な素材やエコフレンドリーな衣装が注目されています。
結婚式の変化と今後の展望
日本の結婚式は、時代の流れとともに形式やスタイルが大きく変化してきました。経済的な背景や価値観の多様化が、結婚式の豪華さから個性やシンプルさへとシフトさせています。また、今後もオンラインツールの活用やサステナブルな結婚式など、新たな形が生まれる可能性があります。
結婚式の有無や形態はカップルごとに自由に選べる時代だからこそ、「二人らしい結婚式」が求められているのです。